2018年9月30日、翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選で玉城デニー氏が初当選した。
沖縄本島東海岸北部に位置する辺野古。
米軍基地建設のため、海の埋め立て工事が始められようとしているこの地は、翁長前知事の意思を継ぎ辺野古基地移設に反対を明言する玉城新知事の誕生により、今後よりいっそう政治の渦中に巻き込まれていくだろう。
そんな中、17年以上にわたり辺野古へ通い続けている水中写真家 中村卓哉氏の新作写真集『辺野古 ―海と森がつなぐ命』が発売された。
著者の中村氏は2001年「埋め立て予定地となっている海の中にも必死に生きている命があるはずだ」と辺野古に通い始め、以来この地に17年間通いつめ、数えきれない枚数の写真を切り取り続けてきた。
辺野古の海には3000年もの歳月をかけてできたサンゴの大群落があり、5000種類を超える生きものが暮らしている。
本書は、広大な森、河口に広がるマングローブと干潟、浅瀬の海、奇跡のサンゴ礁まで、豊かな自然とそこに息づく生物たちの記録だ。
この生物多様性の海を育てているのは広大な「やんばるの森」と、そこから栄養分を運ぶ清流
満月の夜のサンゴの一斉産卵のシーンは、未来へとつなぐ命の神秘を感じさせる
『辺野古-海と森がつなぐ命』2,500円(税込) 株式会社クレヴィス / 中村卓哉 著
辺野古への基地移設に関しては様々な事情や考え、立場の人々が存在するため十把一絡げな批判は避けるが、「埋め立て」という言葉の裏にどれほどの命が溢れているのか。
この写真集は生命の豊かさ、力強さをもってそのことを訴えているように思えてならない。
著者 中村卓哉氏 プロフィール
1975年東京生まれ。10歳のときに沖縄の慶良間諸島でダイビングを体験、海中の世界に魅せられ、水中写真家となる。国内各地の海に加え、パプアニューギニアの海も撮影。海のありのままの状態を記録し、海と陸、そして人間が結びついた環境を写真で伝えたいと作品を発表、執筆、テレビ・ラジオ出演、講演活動も行う。著書に『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山|川|海』(偕成社)、『海の辞典』、『パプアニューギニア 海の起源をめぐる旅』(共に雷鳥社)などがある。パプアニューギニアダイビングアンバサダー、日本写真家協会会員。
株式会社クレヴィス
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